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難病医療費受給者証とは?制度概要・手続きの流れ・肝疾患の重症度基準を解説

2025年12月8日

難病医療費受給者証とは

難病医療費受給者証(特定医療費受給者証) は、指定難病の患者が医療費の助成を受けられる制度です。


厚生労働省が定めた 「指定難病」338疾患(2025年現在) が対象となります。

受給者証があると、医療費の自己負担上限額が決まり、長期的な治療費の負担が軽減されます。

対象となるのはどんな人?

以下の2つを満たす人が対象です。

① 指定難病に該当している

例:

② 重症度基準を満たす(または軽症高額該当)

重症度基準とは、病気の進行度・治療の必要性などを客観的に判断する基準です。


次章で詳しく説明します。

肝疾患における重症度基準

肝疾患は、病態により基準が異なります。

以下は厚生労働省の公式基準をもとにした主要ポイントです。

【1】胆道閉鎖症(指定難病 58)

胆道閉鎖症は指定難病のため、原則として次のいずれかに該当すると医療費助成の対象になります。

● 重症度基準

※胆道閉鎖症は重症度基準を広く認める傾向があり、移植後も対象になります。

【2】原発性硬化性胆管炎(PSC:指定難病 69)

● 重症度基準例

【3】原発性胆汁性胆管炎(PBC:指定難病 67)

● 重症度基準例

【4】自己免疫性肝炎(AIH:指定難病 63)

● 重症度基準例

【5】肝硬変・肝不全関連疾患(指定難病に該当するもの)

肝硬変それ自体は「指定難病」ではありません。


しかし、原因疾患が指定難病の場合(例:PSC由来肝硬変、PBC由来肝硬変)は対象です。

● 重症度基準例

【6】肝移植後(原因が指定難病の場合は助成対象)

● 重症度基準

多くの場合、移植後も継続して受給者証を保持できます。

軽症高額該当とは

重症度基準を満たさない場合でも、以下を満たせば助成対象になります。

● 「軽症高額該当」

肝疾患は通院検査や薬代がかさむため、軽症高額該当で対象になるケースも多いです。

受給者証を取得するための手続き(新規申請)

手順は以下の通り:

① 指定医に「臨床調査個人票」を作成してもらう

(胆道閉鎖症やPSCなども専用様式)

② 市区町村へ必要書類を提出

③ 都道府県の審査会による審査

提出された「臨床調査個人票」と申請内容をもとに、

④ 受給者証の交付

審査に通過すると、ご自宅へ 「特定医療費(指定難病)受給者証」 が郵送されます。


この受給者証を医療機関の窓口に提示することで、
その日から医療費助成が適用されます。

助成内容(1か月あたりの自己負担上限額)

上限額は所得により変動します。

区分自己負担上限額の目安
低所得0〜2,500円
一般所得5,000〜20,000円
高所得30,000円〜

※肝移植後で医療費が高額な場合でも上限額が適用されるため、大きな支援となります。

更新手続き(毎年必要)


難病医療費受給者証は、難病と共に生きる方々が治療を継続できるよう、国が整備した大切な支援制度です。


肝疾患、特に胆道閉鎖症や肝移植後の患者さんにとって、この制度は生活を支える重要な基盤となります。

当NPOとしても、患者さんとご家族が制度を正しく理解し、必要な支援を受けられるよう、今後も情報提供を続けてまいります。


本記事が、皆さまの安心につながる一助となれば幸いです。