私たちの活動について
情報発信
私たちは、胆道閉鎖症に関する正しい知識や実際の経験を広く共有することで、社会全体の理解を深め、同じ病気と向き合うご家族や患者の支えとなることを目指しています。そのために、オンラインとオフラインの両面から積極的に情報発信を行っています。
■ オンラインでの発信
私たちは、ホームページやSNSを通して、病気に関する情報や日々の活動、イベント情報などを発信しています。
特に、SNS(X・Instagram)では日常的に更新を行い、患者・家族の声や最新の医療情報、支援制度の紹介などを幅広くお届けしています。
オープンな形で情報を公開することで、必要な情報を探している方が見つけやすくなり、また共感やつながりを通して、社会の理解や支援の輪が広がることを願っています。
一方的な発信にとどまらず、コメントやメッセージなどを通して、双方向のコミュニケーションを大切にしています
■ オフラインでの活動
インターネット上での発信に加え、直接顔を合わせて交流できる機会も大切にしています。
定期的に講演会や交流会を開催し、小児外科の医師や医療従事者による講演、胆道閉鎖症の患者・保護者による体験共有セッションなどを実施しています。
これらの活動を通して、医療現場からの最新情報を届けるとともに、同じ立場の方々が安心して話し合える環境づくりを目指しています。
また、交流の場を通じて新たなつながりを生み、孤立を防ぎ、支え合える地域・社会づくりにもつなげていきます。
私たちは、これらの情報発信を通じて、胆道閉鎖症への理解を社会全体に広げるとともに、患者やご家族が少しでも安心して過ごせる環境づくりを目指しています。
ピア・サポート
胆道閉鎖症は、手術や長期的な通院・検査、さらには将来的な移植の検討など、患者本人だけでなく家族全体に大きな不安や負担をもたらす病気です。私たちは、同じ経験を持つ人同士が支え合い、安心して悩みを話し合える「ピア・サポート」の仕組みを大切にしています。
■ ピア・サポートの目的
ピア・サポートとは、同じ立場・経験を持つ人(ピア=仲間)が、互いに話を聴き合い、支え合う活動です。 病気や治療に関する不安を共有し、日常生活や進学・就職・家庭生活などの課題を共に考えることで、孤立を防ぎ、次の一歩を踏み出すきっかけをつくります。
私たちのピア・サポート活動では、相談者の「今の悩み」に寄り添い、将来を見据えた支援へとつなげていくことを目的としています。
■ 小児期の保護者の方
胆道閉鎖症と診断された直後は、手術や入院、退院後の生活など、見通しの立たない不安が大きくなりがちです。
また、成長に合わせて栄養管理や定期検査、学校生活における配慮など、新たな心配ごとも増えていきます。
そうした保護者の方々に、同じ経験を持つ方の実体験を通して「どう乗り越えられたか」「どんな準備をすれば良いか」を知っていただくことで、少しでも安心して向き合えるよう支援します。
■ 思春期・青年期の患者さん
成長とともに、病気の管理を自分自身で担う場面が増え、生活の自由と健康管理のバランスに悩む方も少なくありません。
また、進学や就職など将来を考える時期には、「体調が安定するのか」「社会に出てやっていけるのか」といった不安も生じます。
同じ経験を持つ先輩患者との対話を通して、現実的なアドバイスや安心感を得られる機会を提供します。
■ 成人期の患者さん
成人後には、体調の変化や再手術・再移植の可能性、自己肝の方は脳死肝移植、社会生活との両立、就労継続など、より現実的で複雑な課題が生まれます。
また、家族構成の変化や金銭的負担なども大きな悩みの一つです。
同じ立場の仲間と経験を共有することで、情報だけでは得られない“生き方のヒント”を見つけていただけるよう支援
■ マッチング型サポートの仕組み
これまでのピア・サポートは、限られた人の中で非公開に行われることが多く、「どんな人に相談できるのか分からない」「求めている話が聞けない」といった課題がありました。
そこで私たちは、相談者の年代・立場・悩みの種類に応じて、最適なピア・サポーターとつながる仕組みを整えています。
たとえば、
小児患者の保護者 → 同じ年代の子どもを持つ保護者のサポーター
成人患者本人 → 移植後の生活を経験した成人サポーター
といった形で、より共感性の高い関係を築くことができます。
■ 活動の意義と今後の展望
ピア・サポートは「専門家の代わり」ではなく、「同じ道を歩んできた仲間」としての寄り添いです。 悩みや不安を共有する中で、自分だけでは気づけなかった解決の糸口や希望を見つけることができます。 今後は、オンラインでのマッチングや面談の仕組みを整え、全国どこからでも気軽に相談できる体制を目指します。 私たちは、ピア・サポートを通じて、胆道閉鎖症とともに生きる人々が前を向いて歩める社会づくりを進めていきます。
実態調査
胆道閉鎖症患者およびそのご家族は、日々、自身の体調と向き合いながら生活や仕事、将来設計を模索しています。
しかし、どのような働き方や暮らし方が自分にとって適切なのか、参考となる情報が少なく、自信を持てないまま日々を過ごしている方も多くいます。
私たちは、胆道閉鎖症患者および保護者の方々が抱える課題を客観的に明らかにするため、生活環境・就労状況・家族構成・医療的フォロー状況などに関する実態調査を行います。
この調査によって、年代や病状、移植経験の有無などに応じた傾向を可視化し、今後の支援体制づくりや社会的理解の促進につなげていきます。
また、収集したデータを統計的に分析することで、将来、進学・就職・結婚などのライフイベントに悩んだときに「自分と同じ立場の人がどう歩んできたのか」を示す“道しるべ”として活用していきます。
さらに、調査を通じて患者や家族の悩みの背景を把握し、QOL(生活の質)に影響する要因を明らかにすることで、医療・行政・教育など多方面に対して課題提言を行うことも目指しています。
【基本情報・属性】
患者・家族の背景を把握するための基本項目です。
- 年齢
- 性別
- 居住地域(都道府県レベル)
- 家族構成(単身・夫婦・子有等)
- 学生/社会人/主婦(夫)/無職等の生活区分
- 結婚の有無・配偶者の有無
- 子どもの有無
- 家族の年齢層
【医療・健康状況】
胆道閉鎖症に関連する健康状態と医療フォローの現状を把握します。
- 現在の病状の安定度(胆管炎の頻度、腹水、黄疸など)
- 症状の有無・重症度
- 移植の有無(生体移植/脳死移植/未実施)
- 移植後の経過・再移植の有無
- 手術を受けた病院
- 入院頻度(年間の入院回数)
- 通院頻度・主治医との関係満足度
- 使用中の薬・治療方法
- 栄養管理(摂取制限、サプリメント等)
- 医療費の負担感・助成制度利用状況(小慢医療費助成、障害者医療等)
【教育・成長段階別課題(小児・学齢期)】
小児期〜思春期における学校生活・成長上の課題を明確化します。
- 学校への病気説明や配慮の有無
- 学校行事・体育活動への参加制限の有無
- いじめ・差別的体験の有無
- 教員・保健室との連携状況
- 通学・体力面での困難
- 進学時・進路選択時の悩み
【就労・職業生活(成人・社会人)】
成人後の就労・経済的自立に関する現状を把握します。
- 就職状況(就業中/休職中/無職等)
- 職種・業種
- 勤務形態(正社員/パート/在宅/フリーランス等)
- 勤務時間・通勤距離・通院との両立状況
- 勤務先での病気への理解や配慮の有無
- 就職活動時に感じた困難
- 離職・転職経験の有無(理由含む)
- 月収・世帯年収の目安
- 労働環境への満足度
- 将来的な働き方の希望
【生活環境・住まい】
日常生活の基盤となる環境を把握します。
- 居住形態(持ち家/賃貸/親元同居等)
- 居住地域の医療機関・支援団体との距離
- 日常生活での困りごと(買い物・移動・気温等)
- 生活費・家計の負担感
- 経済的支援(公的・民間)の利用有無
- 生活満足度(10段階自己評価)
【家族・社会的支援環境】
家庭・周囲からのサポート体制や社会的つながりを確認します。
- 家族・親族からのサポート有無
- 配偶者・パートナーの理解度
- 友人や知人との交流頻度
- ピアサポートや患者会への参加経験
- 支援機関・行政・医療ソーシャルワーカーとの関わり
- 患者・家族向けSNSや情報サイトの利用頻度
- 患者同士のつながりに対する関心
【心理・精神的側面(QOL関連)】
生活の質と心理的支援の必要性を評価します。
- 将来への不安(再発・移植・寿命・家族への影響等)
- 病気への受け止め方(肯定/不安/受容)
- 気分の落ち込みや孤立感の頻度
- ストレス対処法(家族・友人・趣味・医療従事者等)
- カウンセリング・心理相談の利用有無
- QOL(生活の質)自己評価スコア(10段階評価)
- ピア・サポートへの関心・期待内容
【情報・認知度・社会制度の理解】
情報格差や制度利用の課題を明らかにします。
- 病気に関する情報の入手経路(医師/SNS/NPO/Web等)
- 情報の信頼性に対する認識
- 行政・支援制度(障害者手帳、医療費助成、年金等)の認知度
- 制度利用時の課題(申請の煩雑さ、対象外等)
- 社会の理解度に対する実感(偏見・差別等)
【将来展望・希望・課題】
今後の生活設計や希望を自由回答・選択式で収集します。
- 将来への希望(健康維持・家族・仕事等)
- 不安要素(経済・再発・移植・家族への負担等)
- 今後必要だと感じる支援(情報・交流・金銭・心理)
- これから挑戦したいこと
- 行政・医療機関・NPOへの要望
- 「こうなってほしい未来像」自由記述欄
【自由記述】
自由回答形式で、日々の想いや意見を伺います。
- 現在の生活で感じていること、伝えたいこと
- 他の胆道閉鎖症患者や家族に伝えたいメッセージ
- 支援活動への意見・要望
スキル支援
胆道閉鎖症をはじめとする難病患者の中には、体調の波や入退院を繰り返すことから、継続的な就労や安定した収入の確保が難しい方が少なくありません。
また、社会経験が十分でないことや、体への負担が大きい労働環境を避けざるを得ないことから、将来への不安を抱えている方も多くいます。
このような課題を解決するため、当法人ではスキル支援事業を行っています。
本事業は、NPO活動の中で唯一の営利事業として位置づけ、参加者の経済的自立を後押しすることを目的としています。
■ 事業の概要
オンライン講座や動画研修を通じて、体に負担をかけずに働くためのスキルを学ぶ機会を提供します。
講座のジャンルは、Webデザイン・プログラミング・WebマーケティングなどのITスキルを中心に、営業提案や見積作成、進捗管理などのビジネススキルも含みます。
入院中でも、自宅でも、自分のペースで学べる仕組みを整え、病気や障がいがあっても社会と関わり続けられる環境を目指します。
■ 目的と意義
胆道閉鎖症は難病指定を受けており、移植手術を行った場合には障害者手帳1級が交付されることもあります。 しかしながら、国からの定期的な給付や十分な生活保障はなく、多くの方が「完治扱い」とされ、自立した生活を自身の力で築かなければなりません。 その一方で、一般的な就業環境では体調の変化や通院による制約が大きく、長期的に働き続けることが難しい現実があります。 そこで私たちは、「働けないから支援を受ける」ではなく、「自らの力で収益を生み出す」という新しい支援の形を提案しています。
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